「ふぅ・・・シレーナ様もなかなか難題を下さるものね・・・」
「何人かに声を掛けては見たものの、あまりいい返事は貰えないし」
「しまいにはシレーナ様ってば、
『有望な新人を見つけるまで、帰ってくることは許しませんわ!
おめおめと帰ってきたその時には・・・判っていますわね?(にっこり)』
って・・・」
「こないだこっそり近づいたら、空からキッチンナイフが降ってくるし・・・」
「はあぁ・・・」
メリルがそんなことを愚痴りながら歩いていると、
びっくりするものが目に留まりました。
(Σ 人が・・倒れてるっ!?)
「もしもーしっ、大丈夫ですかー!」
「ぅ・・・」
もしや死んでいるのでは・・とも思ったメリルでしたが、
どうやら息はあるようです。
その女の子は、フラフラと立ち上がるとこう言いました。
「おなか・・・」
「おなか!? おなかが痛いの!?」
「おなか・・・すいたです」
・・・思わずずっこける、メリル。
「あ、あはは・・・まぁ、良かったけど・・・配給されたパンは食べちゃったの?」
「う〜ん・・鉱石堀りに夢中になってるうちに、
いつの間にか全部食べちゃってたみたいです・・・」
「一生懸命なのはいい事だけど、ご飯はしっかり食べないと!」
「石を掘ったり、魚釣りに熱中したりすると・・・うっかり時間忘れちゃうです。
悪い悪いクセなのです」
メリルの耳がピクっと動きました。
何か思いついたことがあるようです。
(この子・・・勧誘してみようかしら)
「わたしは、メリル。 えぇっと・・・」
「チッタ、です」
「チッタちゃん、ね・・・ここで会ったのも何かの縁。 ご飯、ごちそうするよ」
「え、でも」
「まぁまぁ、いいからいいから」
そう言って、メリルはチッタをキッチンまで引っ張っていきました。
「〜♪」
さすがはゴッド厨房師、鼻歌まじりに手際よく調理を進めていきます。
あたりには食欲をそそる香りがただよい始めました。
「・・よ〜し、出来上がりっ!」
完成したのは一皿のカレーライス。
「コレは・・・何ていう料理です?」
「『カレーライス』だよ、辛くておいしいの!」
「かれぇ、らいす・・・」
チッタは、はじめて見る料理にわくわくしているようです。
「それでは、いただきますです。 ・・・!」
カッと目を見開いたかと思うと、あっという間に一皿を平らげてしまいました。
「こんなおいしいもの、いままで食べたことないです!」
「ふふ、ありがとう。 元気も出たみたいだね」
「こんな素敵なごはんが作れるなんて、シェルレランの人はすごいです・・」
「うん、そこなんだけどね、チッタちゃん」
と、メリルが切り出しました。
「その素敵な料理のために、シェルレランで働いてみるつもりはないかな?」
よく意味が分からないのか、チッタはキョトンとしています。
「おいしい料理を作るためには、素敵な食材がいるでしょう?
そこにわたしたちシェフの力を組み合わせて、一つの『作品』にするんだもの」
「その食材集めのお仕事を・・チッタがするです?」
「釣りが好きなあなたになら、収穫のお仕事も含めて任せられるかなぁ、って。
もちろん、いま所属してるギルドの都合も――」
「わかりましたです! チッタ、レランで働いておいしいごはん食べるです!」
(け、決断はやッ!?)
驚くメリル。どうやらチッタは、おいしいものに目がないようです。
「えと、それじゃぁシレーナ様――ギルドマスターね――に、報告をお願いね。
わたしの名前を出せば、シレーナ様ならわかるはず。
わたしはちょっといま、ギルドに顔出せなくって・・・」
「・・・? はいです、わかりましたです!」
チッタも疑問は感じたようですが、
メリルの何か恐ろしいものを見たかのような表情から悟ったようです。
「おいしいかれぇ、ありがとうでした! それじゃ、早速行ってくるです!」
言うや否や、チッタは駆け出していってしまいました。
(ふぅ・・・コレで、良かったのかなぁ・・・?)
「メリル先輩にスカウトされましたチッタです!
先輩たちの、おいしいごはん作りのお手伝いをしにきたです!」
「我がシェルレランへようこそ、チッタさん。
食材部の活動も、なかなか甘くはないですわよ?」
「はいです!」
めでたし、めでたし・・・?
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収集職がいてこそ生産職が生きる、というのはもっともですネ
コレで不問になるはず・・なるはずなんだ・・・
しかし、そもそも誤解だというにっ。
>せらさん
いつも皆には助けられていますm(_ _)m